昨年4月より募集を行いました「第15回グリム童話賞」(テーマは「雪」)について、慎重かつ厳正な審査を行った結果、下記の通り入賞作品並びに入賞者が決定しました。
【一般の部】
大 賞
「ゆきおとこの こもりうた」 ひろい れいこ(東京都)
優秀賞
「おシラさま」 田中 信彦(東京都)
「ゆきさらし」 きだ いく(愛知県)
佳 作
「名もない列車で名もない駅へ」 利光 弘子(大分県)
「雪ホテル」 みち ふむ(栃木県)
【中学生以下の部】
大 賞
「ひとりごと」 粂川 桃帆(栃木県)
奨励賞
「青い雪」 REINA(アメリカ)
「おしゃれと心」 湯沢 澪央(北海道)
「きつねの雪だるま」 藤島 葵(愛媛県)
入賞者の皆さまには、1月15日付で、贈呈式のご案内をお送りしました。
作品応募時に結果通知を希望された方へは、本日発送予定です。
選考委員から特別な評のない場合には、個人への作品講評はいたしません。
大賞作品は、2月15日から開催します「第34回企画展」会場にて掲示いたします。
入賞作品を掲載した「作品集」は、電子書籍として販売しています。
発売は2月中旬を予定しています。
作品集の販売・購入についてはこちらでご確認ください。
作品集には、入賞作品9編と、選考委員による総評、各作品への講評も掲載いたします。
関連リンク:グリム童話賞 締め切りました
【審査員講評】(要約・抜粋しています)
本年度で15回をむかえた本賞であるが、前年度の贈呈式当日は関東甲信越が20年ぶりという大雪にみまわれ、まさに記憶に残る雪の日であった。
そこで、今回のテーマが「雪」となったのは自然のなりゆきともいえた。
グリム童話でも『白雪姫』『ホレおばさん』をはじめ、雪にまつわるメルヒェンは少なくない。
それだけに、雪から連想されるストーリーや設定に類型的な、どこかにあったような民話調や動物の話がたくさんよせられ、キツネ、クマ、オコジョ、雪だるま、雪女などのお話などが目立ったようである。
入賞した作品は、多くの応募作の中から最後に残されてきたのであるから、それぞれにキラリと光るものがあった。
その光がなんであるか? 「文章」なのか「心」なのか?
少なくとも、うまい話を書いてやろうという発想ではないことだけは確かだろう。
賞には入らずとも、楽しんで、また、心をこめて書いたのならば、ぜひ身近な人や子どもたちに見せてあげてほしいと思う。
グリム童話とて、昔の人びとの長い間のそんな「いとなみ」が伝えられてきたものなのだから。
中学生以下の部の作品に多いのは、架空の国でカタカナの主人公が魔法や冒険をからめて活躍する発想のお話だった。
グリム童話賞だからといって、昔のメルヒェンやファンタジーをなぞる必要もなければ、壮大な物語を10枚にまとめろというのでもない。
なにか心にストーリーが浮かんだら、よくよくそのテーマについて考えてみることも必要だ。
そして、まずは借り物ではなくて、自分らしさ、自分の気持ちというものを前にだしてみたらどうか。
ゲーム機やテレビはそれはそれで楽しんでも、もっと足もとや身のまわりをじっくり観察してほしい!
それで「不思議だな」「面白いな」のタネがみつかったら、それを書きましょう!